『シントピア』
たしか12~13年前のことですが、ちょうど私がアメリカにいた頃、前春日大社宮司の薬室頼昭先生(叔父)が、20人くらいの神職の方々とアメリカの首都ワシントンに講演にやって来ました。
私がお世話をしたのですが、ワシントン墓地などを見た帰り、宮司が私の隣りの席になった時のことでした。
宮司はこのように言われたのです。
「アメリカの人は本当にエネルギーという大切な物が分かっていないね! 皆、自分で呼吸し、生きていると思っているようだ。とても、私の講演など理解できていないね! 見えないエネルギーをアメリカ人のみならず、日本人にも理解させるのは難しいね。良隆君、どうか、見えないエネルギーのことを、すべての人々が分かるように頑張ってもらえないだろうか」
「分かりました! ところで、宮司、『シントピア』というビジョンを自分で作ったのですが、聞いてもらえますか?」
私は『シントピア』について宮司に説明し始めました。
『シントピア』とは、「シン」という言葉と楽園の「ユートピア」という言葉を合わせたものです。日本語でシンを漢字で書くと、森、身、心、神、信、真、伸、新、診、親、進など、本当にいろいろあります。すなわちシントピアとは、この地球上に生まれたすべての人々の心も身体も健康にし、そして、地球の環境を守り、さらには、地球温暖化を防いでくれるビジョンだと、そう熟く語りました。
「地球上のすべての人々は、自分で生きていると固く信じています。それは間違っているのですが、誰も気付きません。この地球に地球エネルギーがあるから、我々は今生命を維持できているのです。『シントピア』は我々を生かしてくれている地球エネルギーに感謝することでもあるのです。宮司、このビジョンはいかがでしょうか?」
「良隆君、そのビジョンは素晴らしいよ。君しかそのビジョンを完成できない。私も応援するから、一緒に頑張って行こう!」
しかし、残念ながら、このビジョンの完成を見ることなく、葉室前宮司はお亡くなりになられました。宮司の遺志を維ぐわけではありませんが、一緒に頑張って行こうとおっしゃってくれた宮司の言葉を力に、私は今後もこのビジョン『シントピア』の完成に向けて頑張ってみたいと思うのです。